銭湯の番台で思うこと

東京都足立区にある銭湯「大和湯」の店主の孫が店番をしながら思ったことを書き綴っていきます

銭湯の廃業に関して思ったこと

よく知る都内の銭湯から、廃業したという旨の電話をもらった。いつものことではあるが、廃業のお知らせを見るたびに気持ちが暗くなる。

① 閉店のお知らせを店頭に掲示する

②SNSで廃業の噂が広がる

③ 閉店間際にかけ込みでお客さんが増える

④ その様子をSNSに投稿し、それを見た人がさらにかけ込みで入浴する

私自身としては、上に挙げたような、都内の銭湯が廃業する直前によく見られる光景を目にするととても心苦しくなる。

銭湯を経営する側からすると、「廃業したらもう二度と入れなくなる」という付加価値がつかなければ目の肥えたお客さんに来店してもらえないというのは、集客に対する努力が足りないことの表れだと思う。そのことは真摯に受け止めなければいけないと思う。

(以下、個人的な意見です)

銭湯を経営する側としては、閉店する前にひと花咲かせるようなイベントがあってもいいのではないかと思っている。

例を挙げると、昨年、文京区の菊水湯で有志の方々が立ち上げた「さようなら菊水湯プロジェクト」(http://todai-umeet.com/article/4283/)や、今年の10月にあった、八王子市に3件だけ残る銭湯のひとつである松の湯を存続させるための署名運動(2000人分の署名が集まったとのこと)が挙げられる。足立区でも、今年の4月30日で閉店された小台湯が、営業最終日に無料ライブを開催されていた。

もちろん、廃業する理由は様々であり、このようなイベントを行う余裕がない場合も多々あると思う。そんな時に、「最後に行きつけの銭湯を盛り上げてやろう」という気概のある方々が集まってイベントを企画して下さったら、多くの人が笑顔で銭湯を後にすることができるのではないだろうか。心ある若者よ、来たれ。

ここまで書いたことは机上の空論かもしれません。「甘い」とご指摘を受けるかもしれません。ただ、私自身としては、尻すぼみするような形で廃業する銭湯が減ることを、心から願っています。